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データ収集への懸念が起こす、デジタルマーケティング業界での変革

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このインサイトについて、さらに詳しく動画で解説しています(13:28)

消費者からの信頼の低下により、企業はエンゲージメント戦略の見直しを迫られています。COVID-19の大流行により世界中の人々は仕事や買い物、人付き合いなどより多くの時間をオンラインで過ごすようになりました。結果、ネットユーザーたちは自分たちのオンラインデータがどのように収集され使用されているかについて、ますます懸念を抱くようになっています。

2020年に公開されたドキュメンタリー映画『監視資本主義:デジタル社会がもたらす光と影』(原題:The Social Dilemma)」でテクノロジー業界人が業界に対して鳴らした警鐘や、2021年1月に米国連邦議会で起きたオンライン上の陰謀を原因とする暴動など、消費者は企業が個人データを適切に管理できるかどうかについてこれまで以上に不信感を抱くようになっています。ここ数カ月の間に、カリフォルニア州では「ダークパターン」と呼ばれる操作可能なUXデザイン(例えば、ほとんどのユーザーが読まないことを承知の上で、難しい法律用語で埋め尽くされた利用規約にユーザーが「同意」することを強要することなど)を禁止する法律が制定され、GoogleはChromeにおけるブラウザのCookieデータのトラッキングの中止を発表し、AppleはApp Storeで販売されているアプリのデータ収集についてより厳しいガイドラインを導入しました。

さらに、1月のCESではAmazon、Twitter、Googleのリーダーたちも、2018年のEUの一般データ保護規則に似た米国の包括的なデータプライバシー規制の必要性を強調していました。実際、最近のIBMの消費者調査が示すように、ビッグテックはデータプライバシーと信頼の大問題を抱えており解決を迫られています。

4人に3人以上のアメリカ人が、データ・プライバシーは自分にとって非常に重要であると答える一方で、ほとんどの人が、企業は消費者のプライバシーを守っているとは信頼していない

しかし、データ収集に関する法律や規範の変更の必要性は、革新的なソリューションを生み出す機会となっています。現在、現行のシステムに代わる2つの有力な動きがあります。Wall Street Journalに掲載された記事によると、Bacardi、Clorox、General Motorsなどの大手ブランドは、匿名化されたデータを利用する新しいシステムに多くの資本を投じ、同時に顧客に関するファーストパーティデータセットを構築する方法を開発しています。Bacardiのデジタルトランスフォーメーション担当上級副社長、Sebastian Micozziは、「GoogleやAppleのゲートキーピングや他社のデータの借用に頼るのではなく、自社で消費者のデータをより多くキャプチャーして、所有することが必要になるだろう」と述べています。

もうひとつは、現在のパラダイムの上に成り立っているデジタルマーケティング業界からの動きで、この変化は大きな影響を与えるでしょう。毎年アメリカ・テキサス州オースティンで開催される最先端テクノロジーの祭典:SxSW(サウス・バイ・サウスウエスト)では、Streamlyticsの創業者Angela Bentonが消費者のオンラインアカウントからデータを取得するための明確な許可を得て消費者に直接料金を支払うという、革新的なソリューションを紹介しました。ユーザーとの関係性を明らかにし透明性を持たせることで、Streamlyticsのユーザーは自分のデータの所有権とコントロールを得ることができ、その結果、よりポジティブなユーザー体験を手にします。Bentonは、この新しいモデルが成功するかどうかは、業界が相互運用可能なデータ標準(オープンソースプロジェクトのUDIF.orgなど)に合意できるかどうかにかかっていると述べています。これにより、ユーザーは自分の個人データを所有し、それを資産として市場で販売することができるようになるのです。

Streamlyticsは、組織が豊富なデータを収集しながらも、透明性を確保し、ユーザーが自らのデータを所有することができるという考えに基づいてビジネスモデルを構築

目次

以下、EISの考察です

  • 世界的に、デジタルコマースが盛り上がる一方で、消費者はプライバシーに敏感になっているが、十分に対策がされているとは言えない状況にある。
  • こうした懸念に乗じて、AppleやGoogle等のプラットフォーマーはユーザーデータを囲い込み、第三者への提供を制限する動きに出ており、各ブランド側は独自にファーストパーティ・ユーザーデータを持つことが重要になっている。
  • カリフォルニアを初め、問題意識の高い地域では、規制整備を待たずに自らユーザーのプライバシーに取り組む動きが出ており、ソリューションも開発されている。
  • ユーザー側としても、「自分のデータを追跡されないようにお金を払う」という選択肢の価値を認識し出すと考えられ、そうしたサービスを新しい選択肢として提供することで新しいビジネスが生まれる可能性も高い。

参考文献

  1. Wall Street Journal
  2. Business Insider
  3. CES 2021 – “Privacy and Trust withAmazon, Google, and Twitter”
  4. SXSW 2021 – “Ethical Startups That Don’t Monetize Your Data”
  5. Photo credit: IBM, Streamlytics

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