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ECDラボ

3つの参考事例から学ぶ、米国ECサイトの効果的なランディングページの作り方

March 26, 2021

Adobe社が2021年3月中旬に発表したeコマースに関するレポートによると、アメリカでは新型コロナウイルスの影響を受けてオンラインでの消費が20%増という稀に見る変化を遂げています。今後もその傾向はさらに続き、2022年までにEコマース市場は1兆ドル規模まで成長すると予想されています。スモールビジネスからレストランまで様々な事業のオンライン化が進み競争が激戦化するアメリカでは、あらゆるマーケティング手法が日々誕生し変化し続けています。今回はECサイトの効果的なランディングページを企画する上で大切にしたいポイントを、3つの米国最新事例と共に紹介していきます。

 

まず初めに、より効果的なランディングページを作る時に意識すべき、4つの要素を抑えておきましょう。

  1. ランディングページの目標
    ランディングページのデザインを始める前に、必ず定めておきたいのはサイト訪問者に最終的に何をして欲しいのかを明確にしておくことです。商品の購入や問い合わせ、資料請求など複数の目標がある場合は、優先順位をつけることで最重要目標が達成しやすい構成へと組み立てられます。
  2. 魅力的なキャッチコピー
    訪問者がサイトに来て提供しているサービスや商品についてもっと知りたいと思うかどうかは、キャッチコピーにかかっていると言っても過言ではありません。端的かつ説得力のある謳い文句をランディングページに並べることは、訪問者の注意を瞬時に引き付け興味を持たせる上で必要不可欠です。
  3. 強力なコールトゥアクション(CTA)
    コンバージョン率の高いランディングページを作るために欠かせないのは、最終的に訪問者を顧客に変えるための行動喚起を促すCTA(コールトゥアクション)です。出来るだけCTAが目立つように対照的な色やボタン、そしてユニークな文言を使うなど訪問者にとって分かりやすいアプローチを工夫しましょう。

  4. シンプルかつ明確なデザイン
    ランディングページには、必要以上の情報を詰め込みすぎないように注意します。1で掲げた目標を見失わないように「何のためのページなのか」「訪問者に何をしてほしいのか」を常に意識しながら、それを達成するために必要なコンテンツやCTAを出来るだけシンプルに整理していきます。

1. GoPro https://gopro.com/

動きのあるアクティブシーンや迫力ある景色を臨場感たっぷりに残すことを目的に作られた、小型軽量・防水設計・4K対応のHDアクションカメラを販売するGoPro。そんなGoProのランディングページは、写真や動画撮影が目的である自社製品の強みと魅力を全面に押し出すために、高品質で迫力のある画像を利用したビジュアルを重視したダイナミックな構成になっています。

特に注目したいのが「まとめ買いで$150お得」というキャッチコピーでトップページに紹介されている、セット商品の打ち出し方。何がセットになっているのか、いくらなのかといった消費者が知りたい情報を簡潔にまとめ、「ShopNow」というCTAで商品購入ページへと誘導しています。画像を中心とした構成の中、CTAボタンの色とデザインを一つだけ変えて目立たせることで、視覚的にもうまく訪問者の注意を引いています。


2. Blue Apron https://cook.blueapron.com


計量された新鮮な食材とシェフ考案のレシピがセットで届き、自宅で本格的な料理が簡単に作れるという宅配ミール・キットのサブスクリプションサービス:BlueApron。家族・友人・恋人と共に様々なシチュエーションでこのミールキットの活用が想像できるよう、音声がなくても視覚的に伝わる魅力的な動画をランディングのトップに配置してユーザーを見事に惹きつけています。このランディングページの目標は、サブスクリプションサービスの販売です。トップバナーでは「おいしいレシピをあなたのご自宅へお届け」というキャッチコピーと共に、BlueApronのブランドカラーであるネイビーの反対色:オレンジを使ってより一層CTAボタンを際立たせています。

また、顧客が抱えうるペインポイントを4つにまとめ、このサービスによってそれらがどのように解決されるのかという要点がイラストと共に簡潔に説明されています。(❶)加えて「1食たった$7.49」と具体的な数字を提示(❷)することで「それなら始められるかも?」と消費者の心理的ハードルを下げ、見事に別の詳細説明ページへ誘導(❸)ができる構成となっています。

3. DollarShave Club https://www.dollarshaveclub.com

数あるサブスクリプションサービスの中でも高い顧客定着率を誇る、男性用カミソリやグルーミング用品を定期的に届けてくれるDollarShave Club。ランディングページでまずは「どうやって身支度していますか?」と質問形式のキャッチコピーでサイト訪問者の注意を引き、補足文で「ニーズをお聞かせくだされば、ぴったりの商品をご紹介します」と顧客に寄り添うことで、短いアンケートに答えていけば自然と商品ページへたどり着く仕組みができています。

 

「サブスクリプションサービスの販売」という目標を達成するために、ランディングページ内では定期購買のために必要な情報だけを簡潔にまとめることでページ離脱率を防いでいます。上から順次読み進めていくだけで概要がすぐ分かるので、「始めてみる」というCTAへの誘導をスムーズに設計できています。また、お試しセットの告知がヒーロー画像のすぐ下にある、お客様のレビューや商品の評価で説得力を持たせるなど、サブスクリプションにためらう人を逃さないように「安心材料」もランディングページの中でカバーされています。

定期購買を始める前に、試せる試供品は$5とお手頃価格

購買者のレビューがランディングページにあると、サービス利用にあたって安心感が違う

消費者目線で組み立てる、ランディングページ

今回紹介した3つのサイトはそれぞれ特徴がありましたが、どの企業にも共通して言えるのは「ランディングページで達成するべき目標」が明確で、それがしっかりとCTAやページ設計に最適化されているところです。このように効果的なランディングページを作るためには、サイト作成者が訪問者目線に立ち、どのような行動や心理でサイトを閲覧しているかを深く観察し理解する必要があります。そのためには、日頃から既存顧客やサイト訪問者に定期的なアンケートを行ったり、スムーズにフィードバックが得られる工夫をしながら消費者が求めていることを探究していくカスタマーディスカバリーを実践して行くことが大切です。

ECDアカデミーでは、日々アメリカの消費者の声を集めているEISメンバーが、ランディングページ設計の大きなヒントともなるカスタマーディスカバリーについてレクチャーしています。ご興味のある方は、詳しいカリキュラム内容をご案内しますのでこちらからご連絡ください。

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