戻る

ECDラボ

米国消費者の生の声を引き出す、フォーカスグループインタビュー

July 4, 2021

アメリカでは人種、宗教、価値観が入り混じっており、日本よりも遥かに消費者の反応を予測することが難しいです。そこで、消費者の生の声を引き出せる「フォーカスグループインタビュー」が重要視されています。一般的には年齢などの人口統計学的な基準から参加者を選定し、モデレーターと呼ばれる司会者がグループごと(1グループ6名程度)にインタビューを進行する、定性調査のアプローチの一つです。参加者同士で自由に話し合ってもらうため、アンケートや1対1のインタビューでは出にくい意見が拾えることが特徴です。今回は、日本以上に大切かつ難しいと言われている、アメリカでのフォーカスグループインタビューの秘訣と活用事例をご紹介します。

<効果的なアンサーを引き出すための秘訣>

  1. ターゲットの定義を明確にする
    参加者を集うときのターゲティングを明確にする必要があります。例えば、「中年のお母さん」をただ集めるだけでは効果的なインタビューは行えません。収入が400万円以上かつ10代の子供がいる、など細かな判定基準をもとに参加者を集うべきではないでしょうか。人口統計的に様々なグループから意見を聞くことで、考え方の傾向を見つけ、商品企画やマーケティングに活用することができます。

  2. オープンクエスチョンの質問を心掛ける
    フォーカスグループインタビューの醍醐味は、参加者の感情を読み取ることが可能な点です。「はい」「いいえ」で答えられるクローズドクエスチョンでは読み取ることができません。そのため、5W1Hのクエスチョンを投げかけられるように準備した方が良いでしょう。
  3. 綿密な計画を立てる
    より効果的な意見を抽出する方法の1つは、参加者が自主的に話を進めることができる環境を作り出すことです。しかし、その過程で本来のトピックから逸れてしまう可能性があります。参加者のやりとりに対していくつかパターンを考えておき、トピックから逸れてしまったら1の質問、順調に進んでいたら2の質問、とインタビュー進行における計画を事前に立てておくことが良いでしょう。

ここで実際の事例をご紹介します。世界最大のラム酒ブランド「BACARDÍ」もフォーカスグループインタビューを利用しており、以下2点に意識して取り組んできました。

本物のファン層を集める

一般的には、人口統計学的な基準に基づいて参加者の選定を代理店に依頼しますが、「BACARDÍ」の調査ではSNSで「BACARDÍ」の投稿をしているユーザーを集めていきました。その結果、本物のファン層からの生の声を聞くことに成功したのです。

参加者と友達になる

インタビューというと堅苦しい空間になってしまいがちですが、参加者が発言しやすい空間を作り出すことも重要です。実際に、BACARDÍラム酒の好きな特徴を尋ねる代わりに、"もしBACARDÍの訃報記事があったとしたら、それは何と書かれていますか?“と尋ねたそうです。すると、「世界中のラテンアメリカの家族は、毎年12月に家の中にあるBACARDÍの存在を決して忘れないだろう」、「BACARDÍこそがラテンのセクシーさを支える秘密のソースである」など非常にユニークな回答が寄せられ、多様性に富んだ意見を抽出することができました。 

今回はフォーカスグループインタビューをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。ぜひこれを機にマーケティング調査を見直してみてください。ECDアカデミーでは、アメリカでのフォーカスグループインタビューのみならずマーケティング調査について、具体的な事例や、各種ソリューションのご紹介など実践力を高めるプログラムをご用意しています。本プログラムにご興味をお持ちの方は、カリキュラムの詳細などをこちらからお問い合わせください。

Photo Credit: IntoTheMinds, BACARDÍ

ECDとは?